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◆【カーペット最新動向】日本カーペット工業組合

 日本カーペット工業組合(JCM・吉川一三理事長)は現在、日本小児アレルギー学会に対し、同学会の発行する喘息治療ガイドライン中にある「じゅうたん、カーペットは敷かない」という文言の削除を求めて活動を展開している。

 この文言はカーペット業界が長年にわたり苦しめられている、カーペットとダニアレルギーを関連づける「ダニ問題」が解決しない大きな原因の一つ。例えば、新聞・テレビがダニアレルギー問題やハウスダスト対策を報じる際、取材先の医師から紹介されたこのガイドラインを参考にするケースは多い。そうなると当然、記者はダニアレルギー対策として「カーペットは敷かない」と書く。いくらJCMが科学的な検証を経て、「カーペットにはハウスダスト舞い上がり抑制効果(フローリングの10分の1)があり、アレルギー対策にもなる」と主張しても広がるはずがない。医師とマスコミの強力タッグを倒すのは相当難儀だ。

 JCMはガイドラインのことを10年程前に把握していたが、当時同様の問題で悩んでいた米国カーペット協会(CRI)に相談したところ、「我々でも医師たちを説得するのは難しい」と言われ、自分たちも何となく諦めていたという。

 しかし約1年前に飛び込んできたビッグニュースが再び時を動かす。米国の喘息治療ガイドラインで従来は推奨事項であった「カーペットを硬質床材に取り換えるべき」という文言が削除されたのだ。さらに、その背景にはCRIによるガイドライン発行組織への働きかけもあったことが分かった。このサプライズ情報を入手したJCMは「それなら私たちにも可能性がある!」と奮い立ち、すぐにワーキンググループを立ち上げ、日本小児アレルギー学会に対して「じゅうたん、カーペットは敷かない」という文言の削除を求める要望書を送付。さらに昨年末には日本小児アレルギー学会理事長をはじめとする関係者との面談、意見交換にまでこぎつけた。

 同学会は面談後、「貴重な意見をいただいた。カーペットに関してはこれまでしっかりと検証してこなかった」として、次期ガイドライン(2023年発行予定)の作成に向け、「カーペットとダニアレルギー」に関する文献調査と科学的検証をおこなうと明言した。
 JCMは今後も資料提供などを通して学会に働きかけていく考えだ。目的達成までに時間はかかるかもしれないが、歴史的な大転換に向けて大きな一歩を踏み出した。

  参考までに、カーペットとダニアレルギーがほぼ無関係であることを示す調査結果の一つを紹介しておこう。兵庫県の西宮市環境衛生局が平成2年にまとめた「ダニアレルギー調査報告」(座長・西宮市医師会 丸山義一氏)では、「ぜんそく発作の誘発は、寝室を含めて床のダニ数との関連は余り認められず、使用している寝具類のダニ数がぜんそく発作に大きく関連していることが傾向として認められる」と結論づけた。

 さらに調査総括として、「(ぜんそく患者のいる家庭でカーペット、畳などの床材を)フローリング、コルク等、フラットな材質に改造することは、好みの問題であっても決して疫学的に積極的意義のあることではない」と報告している。

 西宮市はまた、小中学校の児童などを対象にぜんそく調査を実施(調査書配布4万7千枚、回答回収4万枚)。子どもたちの寝室等の床材(カーペット、フローリング、畳など)と喘息などの有症率との関係を調べたところ、「カーペット」は喘息の有症率がもっとも低い結果となった。

日本カーペット工業組合のホームページ
http://www.carpet.or.jp

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