オンラインIBNにて既報(2022年2月17日配信)の通り、(株)川島織物セルコン(木村弘一社長)は、このほど同社の光触媒加工技術「セリスト」加工を施したファブリックに新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の低減効果を確認したと発表、コロナ禍が続く中で非常に大きな注目を集めている。
「セリスト」加工については、本紙2021年5月25日号でも取り上げたが改めて紹介すると、光触媒作用のある酸化チタン微粒子を、生地表面に生地の風合いに悪影響を及ぼすことなく固着させる同社オリジナルの加工技術のことで、その生地上に特定のウイルスが付着し光(紫外線)が当たると、光触媒の作用で近くの酸素や水に反応しウイルスの構造の一部(エンベローブなど)を酸化分解し不活化させるというものだ。家庭用洗濯機で5回洗濯した後も高い数値を維持、持続性が高いのも特徴である。
もともとはインフルエンザウイルスに対して99%以上の低減効果を確認していたが、新型コロナウイルスがインフルエンザウイルスと同様にエンベローブ型のウイルスであることから、同社では感染拡大直後から新型コロナウイルスへの低減効果もあるのではないか、との仮説を立てて検証をスタートしたという。
試験機関(地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所)にて新型コロナウイルスの試験がはじまるとすぐさま検証を依頼、2021年10月に実施した試験の結果、紫外線照射6時間で繊維上の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が96.1%低減、また朝夕の比較的弱い光でも効果を発揮するとの結果を得た。その結果を慎重に精査し、今回の発表に至ったわけだ。
さて、「セリスト」加工のカーテンは、2001年発売という実に20年以上の実績がある商品である。その長い歴史の中で、抗ウイルス加工カーテンとしては業界トップクラスの200アイテム以上を展開、オーダーカーテン見本帳「filo(フィーロ)」、「I’m(アイム)」、「FELTA(フェルタ)」に収録され、カラー・デザインも豊富にラインナップするなど、医療・福祉施設だけでなくホームユースにも提案しやすくなっているのが特徴だ。また抗ウイルス機能との併用が難しい防炎機能もほぼ全点で対応している。
こうしたこともあり、今回の新型コロナウイルス低減効果の発表以降、インテリア専門店をはじめとするカーテン販売店から多数の問い合わせが入るなど大きな反響を得ているという。
まさにコロナ禍の抗ウイルスニーズの獲得に有力な武器になってくるが、その一方で提案に際して注意したいのが、「セリスト」加工の効果は、生地上のみで発現するもので、空気中に浮遊するウイルスには効果はおよばないという点だ。また病気の治療や予防を目的としておらず、ウイルスの働きを抑制するものでもない。そのため薬機法(旧薬事法)では販売元メーカーに対して過度な効果をうたってのプロモーションを認めておらず、販売店にも同様の対応が求められている。
川島織物セルコンでは、販売店に対して注意事項をまとめた資料を配布し、プロモーションに対する注意喚起も行っている。
オミクロン株の感染拡大が続く中でとてもインパクトの大きなニュースであるが、薬機法に基づき、きちんとした形でエンドユーザーに紹介していきたいところだ。
川島織物セルコンのホームページ
https://www.kawashimaselkon.co.jp/